献酬という習慣は私たちの社会からもう消えてしまったが、それでもまだ宴席において、「自分のビール瓶」を抱え込んで手酌で飲むのは非礼とされている。
自分のグラスが空になったら、面倒でも隣の人のグラスにビールを注ぎ、「あ、気がつきませんで・・・」と隣の人がビール瓶を奪い取って、こちらのグラスに注ぎ返すのを待たなければならない。
「自分が欲するものは他人に贈与することによってしか手に入らない」という文化人類学的真理を私たちはこういう儀礼を通じて学習するのである。