建築士法の改正案

SENDA MAN Weekly Report 仙田週報<号外06/06/29>より

「私が心配していた事務所による業務の制限、すなわち統括する建築士の事務所で一括して設計を受注することができ、それを構造・設備の専門事務所に再委託するという形が可能となるものであった。これを質問し、確認した。これで何とかJIAをはじめ、士会、事務所協会等、設計界も受け入れられそうである」



 つまり、構造や設備の事務所への分離発注を回避したいということだ。しかし、設計を一括受注し構造・設備に下請けに出すという構造が変わらない限り耐震偽造問題や建物の安全性の問題を根本的に解決できないように思う。構造・設備に専門資格を与えて責任をより重くしても、元請者からしたらうまく安全性の責任だけは下請けに移すことに成功しただけとも言えないか。無理なコスト削減要求や安全性を損なう理不尽な要求を専門資格の創設によって回避できるとは到底思えない。「やらないと言うのなら他の者に依頼するまで」と言われて「はいどうぞ」と言えるものばかりではないだろう。専門家として責任を持って仕事ができる環境、そしてそれに相応しい報酬が得られることが大切なだけだ。それには分離発注が不可欠なように思う。請負契約ではなくて、クライアントと直接契約することが必要だ。構造・設備の専門家も建築意匠事務所が仕事を持ってい来るのをただ待っているだけでなく、自らも専門家や技術屋という殻を破って積極的に表舞台に出て行く準備が必要になっているのではないか。