http://ameblo.jp/mscblog/page-9.html
今朝のボスには、応力の乱れが、単純にバットレスの非対称性により生じているものなのか、それとも、その他の最近の細かい変更の積み重ねにより生じているものなのかが、正確にジャッジできなかったわけだ。

その確信がないままに、次の変更の検討をしてはいけません。

あいまいなモノの上に理屈の通ったモノを乗せても、それは結果としてあいまいなモノでしかない。砂上の楼閣というヤツです。

そのため、スタッフは、手順を追って現状に至る経緯を論理的に説明する必要があります。

今朝のケン坊にはその準備ができていませんでした。

ので、手順を追い直すためのスタディが始まった。

バットレスのない場合

片側にだけ対称なバットレスが有る場合

両側に対称なバットレスがある場合

まず、この3者を検討する。

バットレスのない場合は、実際には建てるわけないので、検証したところでそのときの応力の情報が設計に採用されることはあり得ない。

しかし、解析を行う。

これは原点を設定するようなものと言ってよい。

そして、バットレスが片側にだけある場合と両側にある場合の解析を行い、原点からどれだけパフォーマンスが改善されたかをチェックする。

片側案は、大した効果が得られていないことがわかり、その時点で廃案となり、両側案が生き残る。

その次は、両側案のバットレス配置が対称だったものを非対称にした場合のスタディが始まる。

非対称な分、当然のように応答に乱れは生じるのだけれど、その際のパフォーマンス(性能)の低下の量が問題となります。その性能の低下具合が、大仰でない場合は、その低下は許されてもよいのです。

もう少しつっこんで言えば、非対称にしたことで得ることができる建築としての質の上昇具合と性能の低下の具合を天秤にかけたときに、トータルとして非対称案が優れていると自信を持って言えればそれでよい、ということだ。

何よりも、バットレスが対称に配置してあると、形がかっちりし過ぎてつまらないものになってしまう。非対称な方が圧倒的に躍動感にあふれている。

だからと言って、非対称にした結果、構造の性能が著しく低下するようだと、僕らは、安易に非対称にしたいという要求に乗っかってはいけません。相手がいかに大御所であっても「違うものは違う」と言えなければプロではない、ということです。

(実際は、そんなことを言いたくもないものだから、一生懸命スタディするんですけれど・・・。)

今回の場合、バットレスの非対称配置化による性能の低下は、大した問題ではない、という結論に達しました。95点が88点に下がっても「優」という成績は残る、という感じです。

相変わらず「優」をキープできているのだから、非対称配置でいきましょう、と結論づけることができます。

これまでのストーリーを再確認できると、最初のうち不快に感じていた応力の乱れも、全然不快に感じることはないのですね。それが最初に見たものと同じ数値であっても。

何を変えたことで、どこの部分の性能がどう変化したか?

ということを表にまとめ終えて今日のスタディは終了。午前1時。



これで、自信をもって次の変更の検討へと進むことができます。