エンプティネスとシンプル

原研哉氏が日本の美的文化はエンプティネスにあるとする記事を読んだ。西洋のシンプルとは違う観念だと。

たしかに西洋のデザインは、極限まで切り捨てたところに本質を立ち現わそうとする。その完結した表現に心を奪われる。
逆に、日本の伝統デザインは、エンプティネス。空っぽ。何もないが故にあらゆるモノを投影できる器。本質を求めるのではない。中身のない器のみをしつらえていく。

西洋の空間と日本の空間の質の違いが少し理解できた。何かと他人に答えを求めすぎる現代社会では、西洋のシンプルさが支持される事も多いのだろう。

最近よく見られる、木の無垢材を大きな面積で使う仕上げ方は上記のエンプティの概念を上手に使っているのかもしれない。
自然素材特有のわずかに違う表情の木板。それが広い面積を覆うことで、設計の考え方は単純だけれど、設計の考え方しかわからない空間になる。如何様にも見えるし、感じる。空間に光の揺らぎが生まれる。
ただの今風のデザインではない魅力はういう理由かもしれない。