今の建築家は昔より旅をしなくなったのかもしれない。すばらしい建築は世界中に散らばっていて自分が行かない限りは経験が出来ない。それが建築の最も大きな性質です。確かに情報としては知ることが出来るようにはなりました。反面、空間を自分で経験するような機会が減っているのではないでしょうか?少なくともぼくはそうです。これは建築をやろうとする人にとっては危機的です。建築の設計は技術的なことも当然大切ですが、結局は自分が体験た空間からしか導けないと思っていますし、自分の中から滲み出るものだという風に思います。ぼくは圧倒的にその経験が足りていません。
最近、建築の写真を見ると、なにか使えるものはないか?というような視点でしか見ていない自分に気がついて、ああ、なんて簡単な方法で済まそうとしているんだろうか。と愕然としてしまいました。世界中には過去の偉人達が作り上げた傑作が多くあります。やはり、近道なんてないんだと思います。一つ一つ時間をかけて見に行くしかないんだなと改めて思いました。